Ruby 1.8.7 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Kernelモジュール > set_trace_func

module function Kernel.#set_trace_func

set_trace_func(proc) -> Proc

Ruby インタプリタのイベントをトレースする Proc オブジェクトとして 指定された proc を登録します。 nil を指定するとトレースがオフになります。

Ruby インタプリタがプログラムを実行する過程で、メソッドの呼び出しや 式の評価などのイベントが発生する度に、以下で説明する6個の引数とともに 登録された Proc オブジェクトを実行します。

標準添付の debugtracerprofile はこの組み込み関数を利用して実現されています。

ブロックパラメータの意味

渡す Proc オブジェクトのパラメータは

proc{|event, file, line, id, binding, klass| ... }

で、意味は以下の通りです。

event

実行のタイプを表す、以下のいずれかの文字列。

  "line":      式の評価。
  "call":      メソッドの呼び出し。
  "return":    メソッド呼び出しからのリターン。
  "c-call":    Cで記述されたメソッドの呼び出し。
  "c-return":  Cで記述されたメソッド呼び出しからのリターン。
  "class":     クラス定義、特異クラス定義、モジュール定義への突入。
  "end":       クラス定義、特異クラス定義、モジュール定義の終了。
  "raise":     例外の発生。
file

実行中のプログラムのソースファイル名 (文字列)。

line

実行中のプログラムのソースファイル上の行番号 (整数)。

id

event に応じ、以下のものが渡されます。 第六ブロック引数の klass と対応しています。

    line
        最後に呼び出されたメソッドを表す Symbol オブジェクト。
        トップレベルでは nil。
    call/return/c-call/c-return
        呼び出された/リターンするメソッドを表す Symbol オブジェクト。
    class/end
        nil。
    raise
        最後に呼び出されたメソッドを表す Symbol オブジェクト。
        トップレベルでは nil。
binding

実行中のプログラムのコンテキストを表す Binding オブジェクト。

klass

event に応じ、以下のものが渡されます。 第四ブロック引数の id と対応しています。

    line
        最後に呼び出されたメソッドが属するクラスを表す
        Class オブジェクト。トップレベルでは false。
    call/return/c-call/c-return
        呼び出された/リターンするメソッドが属するクラス
        を表す Class オブジェクト。
    class/end
        false。
    raise
        最後に呼び出されたメソッドが属するクラスを表す
        Class オブジェクト。トップレベルでは false。
[PARAM] proc:
トレース用 Proc オブジェクトを指定します。nil を指定した場合、トレースをオフにします。
[RETURN]
proc を返します。

例:

set_trace_func lambda {|*arg|
  p arg
}
class Foo
end
43.to_s

#----結果----
#["line", "..", 4, nil, #<Binding:0x2b69584>, false]
#  ["c-call", "..", 4, :inherited, #<Binding:0x2b693b8>, Class]
#    ["c-return", "..", 4, :inherited, #<Binding:0x2b6937c>, Class]
#      ["class", "..", 4, nil, #<Binding:0x2b69098>, false]
#        ["end", "..", 4, nil, nil, false]
#        ["line", "..", 6, nil, #<Binding:0x2b68d78>, false]
#          ["c-call", "..", 6, :to_s, #<Binding:0x2b68c88>, Fixnum]
#            ["c-return", "..", 6, :to_s, #<Binding:0x2b68aa8>, Fixnum]

[SEE_ALSO] Kernel.#caller

module Kernel