Ruby 1.9.3 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Process::UIDモジュール

module Process::UID

クラスの継承リスト: Process::UID

要約

カレントプロセスのユーザ ID を操作するためのモジュールです。

移植性が考慮されており、プラットフォーム間の違いを吸収するように実装されています。 プラットフォームのシステムコールを直接使いたい場合には Process::Sys が提供されています。Process::Sys と Process::UID を同時に使うことは推奨されません。

実ユーザ ID を変更するメソッドは提供されていません。 これは Process::UID.#eid=Process::UID.#re_exchange を以下のように 組み合わせることによって実現できます。

                           # (r,e,s) == (u1,u2,??)
Process::UID.re_exchange   # (u1,u2,??) ==> (u2,u1,??)
Process::UID.eid = id      # (u2,u1,??) ==> (u2,id,??)
Process::UID.re_exchange   # (u2,id,??) ==> (id,u2,??)

モジュール関数

change_privilege(id) -> Integer

実ユーザ ID・実効ユーザ ID・保存ユーザ ID のすべてを指定された id に変更します。 成功したら id を返します。主に root 権限を完全に放棄するために使います。

利用できるかはプラットフォームに依存します。

[PARAM] id:
ユーザ ID を整数で指定します。
[EXCEPTION] ArgumentError:
変更できないユーザ ID があった場合に発生します。例外の発生時にこのメソッドを呼び出す前の各ユーザ ID の値が保存されているかどうかは保証されません。
[EXCEPTION] NotImplementedError:
メソッドが現在のプラットフォームで実装されていない場合に発生します。
[Process.uid, Process.euid]          #=> [0, 0]
Process::UID.change_privilege(33)    #=> 33
[Process.uid, Process.euid]          #=> [33, 33]
eid -> Integer

現在の実効ユーザ ID を返します。

grant_privilege(id) -> Integer
eid=(id)

現在のプロセスの実効ユーザ ID を id に変更します。成功したら id を返します。

実ユーザ ID は変更されないことが保証されます。 保存ユーザ ID が変更されないかもしれないので root 権限の完全放棄には使えません。 保存ユーザ ID が変化するかどうかは Process::UID.#re_exchangeable? が true を返すかどうかで決まります。

  • true の環境では、実ユーザ ID と異なる値を設定した場合、保存ユーザ ID は新しい実効ユーザ ID の値に設定されます。
  • false の環境では保存ユーザ ID は変化しません。

利用できるかはプラットフォームに依存します。

[PARAM] id:
ユーザ ID を整数で指定します。
[EXCEPTION] Errno::EXXX:
変更できない場合に発生します。
[EXCEPTION] NotImplementedError:
メソッドが現在のプラットフォームで実装されていない場合に発生します。
[Process.uid, Process.euid]          #=> [0, 0]
Process::UID.grant_privilege(33)     #=> 33
[Process.uid, Process.euid]          #=> [0, 33]
re_exchange -> Integer

実ユーザ ID と実効ユーザ ID とを入れ換えます。 保存ユーザ ID は新しい実効ユーザ ID と同じになります。 新しい実効ユーザ ID を返します。

利用できるかはプラットフォームに依存します。

[EXCEPTION] NotImplementedError:
メソッドが現在のプラットフォームで実装されていない場合に発生します。
re_exchangeable? -> bool

Process::UID.#re_exchange が実装されているならば true を返します。そうでない場合に false を返します。

rid -> Integer

現在の実ユーザ ID を返します。

sid_available? -> bool

保存ユーザ ID を持つ環境かどうかを真偽値で返します。 保存ユーザ ID を持つなら true を返します。

ただし、このメソッドの値には保証がありません。 現在は次の条件のいずれかが満足される場合には 保存ユーザ ID を持つものと判定しています。

  • setresuid() を持つ
  • seteuid() を持つ
  • _POSIX_SAVED_IDS が真として定義されている
switch -> Integer
switch { .... } -> object

実効ユーザ ID を一時的に変更するために使います。

実効ユーザ ID を実ユーザ ID に変更します。実効ユーザ ID と実ユーザ ID が 等しい場合には、実効ユーザ ID を保存ユーザ ID に変更します。 変更前の実効ユーザ ID を返します。

ブロックが指定された場合、実効ユーザ ID を実ユーザ ID へ 変更しブロックを実行します。ブロック終了時に実効ユーザ ID を元の 値に戻します。ブロックの実行結果を返します。

なお、保存ユーザ ID を持たない環境でこのメソッドを実行すると 実ユーザ ID が変化します。

[EXCEPTION] Errno::EPERM:
各ユーザ ID がこのメソッドを実行するのに適切な状態でない場合、 つまり、実ユーザ ID・実効ユーザ ID・保存ユーザ ID が全て 同じ場合に発生します。ブロック付きの場合は、なんらかの原因で元の 権限に復帰できないにも発生します。ブロック内でユーザ ID が変更 されたなどの理由が挙げられます。
[EXCEPTION] NotImplementedError:
メソッドが現在のプラットフォームで実装されていない場合に発生します。
include Process
# (r, e, s) == (500, 505, 505)
p [uid, euid]           #=> [500, 505]
Process::UID.switch do
  p [uid, euid]         #=> [500, 500]
end
p [uid, euid]           #=> [500, 505]
module Process::UID