Ruby 1.9.3 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > 組み込みライブラリ > Structクラス

class Struct + Enumerable + Object

クラスの継承リスト: Struct < Enumerable < Object < Kernel < BasicObject

要約

構造体クラス。Struct.new はこのクラスのサブクラスを新たに生成します。

個々の構造体はサブクラスから Struct.new を使って生成します。個々 の構造体サブクラスでは構造体のメンバに対するアクセスメソッドが定義され ています。

特異メソッド

new(*args) -> Class

Struct クラスに新しいサブクラスを作って、それを返します。

サブクラスでは構造体のメンバに対するアクセスメソッドが定義されています。

dog = Struct.new("Dog", :name, :age)
fred = dog.new("fred", 5)
fred.age = 6
printf "name:%s age:%d", fred.name, fred.age
#=> "name:fred age:6" を出力します

実装の都合により、クラス名の省略は後づけの機能でした。 メンバ名に String を指定できるのは後方互換性のためだと考えた方が良いでしょう。 したがって、メンバ名は Symbol で指定するのが無難です。

[PARAM] args:
構造体を定義するための可変長引数。String または Symbol を指定します。

第一引数が String の場合

args[0] が String の場合、クラス名になるので、大文字で始まる必要 があります。つまり、以下のような指定はエラーになります。

p Struct.new('foo', 'bar')
# => -:1:in `new': identifier foo needs to be constant (NameError)

また args[1..-1] は、SymbolString で指定します。

p Struct.new("Foo", :foo, :bar)   # => Struct::Foo

第一引数が Symbol の場合

args[0] が Symbol の場合、生成した構造体クラスは名前の無い クラスになります。名前の無いクラスは最初に名前を求める際に代入され ている定数名を検索し、見つかった定数名をクラス名とします。

Foo = Struct.new(:foo, :bar)
p Foo                             # => Foo

[SEE_ALSO] Class.new

new(*args) -> Struct
self[*args] -> Struct

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体オブジェクトを生成して返します。

[PARAM] args:
構造体の初期値を指定します。メンバの初期値は指定されなければ nil です。
[RETURN]
構造体クラスのインスタンス。
[EXCEPTION] ArgumentError:
構造体のメンバの数よりも多くの引数を指定した場合に発生します。
Foo = Struct.new(:foo, :bar)
foo = Foo.new(1)
p foo.values      # => [1, nil]
members -> [Symbol]

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体のメンバの名前(Symbol)の配列を返します。

Foo = Struct.new(:foo, :bar)
p Foo.members      # => [:foo, :bar]
new -> Object

Objectクラスのインスタンスを生成して返します。

some = Object.new
p some #=> #<Object:0x2b696d8>

インスタンスメソッド

self !~ other -> bool

自身が other とマッチしない事を判定します。

self#=~(obj) を反転した結果と同じ結果を返します。

[PARAM] other:
判定するオブジェクトを指定します。

[SEE_ALSO] Object#=~

self == other -> bool

自身と other のクラスが同じであり、各メンバが == メソッドで比較して等しい場合に true を返します。そうでない場合に false を返します。

[PARAM] other:
自身と比較したいオブジェクトを指定します。
Dog = Struct.new(:name, :age)
dog1 = Dog.new("fred", 5)
dog2 = Dog.new("fred", 5)

p dog1 == dog2                #=> true
p dog1.eql?(dog2)             #=> true
p dog1.equal?(dog2)           #=> false

[SEE_ALSO] Struct#eql?

self == other -> bool

オブジェクトと other が等しければ真を返します。

このメソッドは各クラスの性質に合わせて再定義すべきです。 多くの場合、オブジェクトの内容が等しければ真を返すように (同値性を判定するように)再定義されることが期待されています。

デフォルトでは equal? と同じオブジェクト の同一性判定になっています。

[PARAM] other:
比較するオブジェクトです。
p("foo" == "bar") #=> false
p("foo" == "foo") #=> true

p(4 == 4) #=> true
p(4 == 4.0) #=> true

[SEE_ALSO] Object#equal?,Object#eql?

self === other -> bool

メソッド Object#== の別名です。 case 式で使用されます。このメソッドは case 式での振る舞いを考慮して、 各クラスの性質に合わせて再定義すべきです。

一般的に所属性のチェックを実現するため適宜再定義されます。

when 節の式をレシーバーとして === を呼び出すことに注意してください。

また Enumerable#grep でも使用されます。

[PARAM] other:
比較するオブジェクトです。
age = 12
result =
case age
when 0 .. 2
  "baby"
when 3 .. 6
  "little child"
when 7 .. 12
  "child"
when 13 .. 18
  "youth"
else
  "adult"
end

puts result #=> "child"

def check arg
  case arg
  when /ruby(?!\s*on\s*rails)/i
    "hit! #{arg}"
  when String
    "Instance of String class. But don't hit."
  else
    "unknown"
  end
end

puts check([]) #=> unknown
puts check("mash-up in Ruby on Rails") #=> instance of String class. But not hit...
puts check("<Ruby's world>") #=> hit! <Ruby's world>

[SEE_ALSO] Object#==, Range#===, Module#===, Enumerable#grep

self =~ other -> nil

右辺に正規表現オブジェクトを置いた正規表現マッチ obj =~ /RE/ をサポートするためのメソッドです。 常に nil を返します。

この定義により、=~ が再定義されたオブジェクトでは正常にマッチを行い、 それ以外のものは nil を返すようになります。

[PARAM] other:
任意のオブジェクトです。結果に影響しません。
obj = 'regexp'
p(obj =~ /re/) #=> 0

obj = nil
p(obj =~ /re/) #=> nil

[SEE_ALSO] String#=~

self[member] -> object

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体のメンバの値を返します。

[PARAM] member:
Fixnum でメンバのインデックスを指定します。 Symbol, String でメンバの名前を指定します。
[EXCEPTION] IndexError:
member が整数で存在しないメンバを指定した場合に発生します。
[EXCEPTION] NameError:
member が String, Symbol で存在しないメンバを指定した場合に発生します。
Foo = Struct.new(:foo, :bar)
obj = Foo.new('FOO', 'BAR')
p obj[:foo]     # => "FOO"
p obj['bar']    # => "BAR"
# p obj[:baz]     # => in `[]': no member 'baz' in struct (NameError)
p obj[0]        # => "FOO"
p obj[1]        # => "BAR"
p obj[-1]       # => "BAR"    # Array のように負のインデックスも指定できます。
p obj[2]        # => in `[]': offset 2 too large for struct(size:2) (IndexError)
self[member] = value

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体の member で指定されたメンバの値を value にして value を返します。

[PARAM] member:
Fixnum でメンバのインデックスを指定します。 Symbol, String でメンバの名前を指定します。
[PARAM] value:
メンバに設定する値を指定します。
[EXCEPTION] IndexError:
member が整数で存在しないメンバを指定した場合に発生します。
[EXCEPTION] NameError:
member が String, Symbol で存在しないメンバを指定した場合に発生します。
send(name, *args) -> object
send(name, *args) { .... } -> object
__send__(name, *args) -> object
__send__(name, *args) { .... } -> object

オブジェクトのメソッド name を args を引数に して呼び出し、メソッドの実行結果を返します。

ブロック付きで呼ばれたときはブロックもそのまま引き渡します。

send が再定義された場合に備えて別名 __send__ も 用意されており、ライブラリではこちらを使うべきです。また __send__ は再定義すべきではありません。

send, __send__ は、メソッドの呼び出し制限 にかかわらず任意のメソッドを呼び出せます。 クラス/メソッドの定義/呼び出し制限 も参照してください。

[PARAM] name:
文字列かSymbol で指定するメソッド名です。
[PARAM] args:
呼び出すメソッドに渡す引数です。
p -365.send(:abs) #=> 365
p "ruby".send(:sub,/./,"R") #=> "Ruby"


class Foo
  def foo() "foo" end
  def bar() "bar" end
  def baz() "baz" end
end

# 任意のキーとメソッド(の名前)の関係をハッシュに保持しておく
# レシーバの情報がここにはないことに注意
methods = {1 => :foo,
  2 => :bar,
  3 => :baz}

# キーを使って関連するメソッドを呼び出す
# レシーバは任意(Foo クラスのインスタンスである必要もない)
p Foo.new.send(methods[1])      # => "foo"
p Foo.new.send(methods[2])      # => "bar"
p Foo.new.send(methods[3])      # => "baz"

[SEE_ALSO] Object#method, Kernel.#eval, Proc, Method

_dump(limit) -> String

Marshal.#dump において出力するオブジェクトがメソッド _dump を定義している場合には、そのメソッドの結果が書き出されます。

バージョン1.8.0以降ではObject#marshal_dump, Object#marshal_loadの使用 が推奨されます。 Marshal.dump するオブジェクトが _dump と marshal_dump の両方の メソッドを持つ場合は marshal_dump が優先されます。

メソッド _dump は引数として再帰を制限するレベル limit を受 け取り、オブジェクトを文字列化したものを返します。

インスタンスがメソッド _dump を持つクラスは必ず同じフォー マットを読み戻すクラスメソッド _load を定義する必要があり ます。_load はオブジェクトを表現した文字列を受け取り、それ をオブジェクトに戻したものを返す必要があります。

[PARAM] limit:
再帰の制限レベルを表す整数です。
[RETURN]
オブジェクトを文字列化したものを返すように定義すべきです。
class Foo
  def initialize(arg)
    @foo = arg
  end
  def _dump(limit)
    Marshal.dump(@foo, limit)
  end
  def self._load(obj)
    p obj
    Foo.new(Marshal.load(obj))
  end
end
foo = Foo.new(['foo', 'bar'])
p foo                      #=> #<Foo:0xbaf234 @foo=["foo", "bar"]>
dms = Marshal.dump(foo)
p dms                      #=> "\004\bu:\bFoo\023\004\b[\a\"\bfoo\"\bbar"
result = Marshal.load(dms) #=> "\004\b[\a\"\bfoo\"\bbar" # self._load の引数
p result                   #=> #<Foo:0xbaf07c @foo=["foo", "bar"]>

インスタンス変数の情報は普通マーシャルデータに含まれるので、上例 のように _dump を定義する必要はありません(ただし _dump を定義すると インスタンス変数の情報は dump されなくなります)。 _dump/_load はより高度な制御を行いたい場合や拡張ライブラリで定義し たクラスのインスタンスがインスタンス変数以外に情報を保持する場合に 利用します。(例えば、クラス Time は、_dump/_load を定義して います)

[SEE_ALSO] Object#marshal_dump,Object#marshal_load

all? -> bool
all? {|item| ... } -> bool

すべての要素が真である場合に true を返します。 偽である要素があれば、ただちに false を返します。

ブロックを伴う場合は、各要素に対してブロックを評価し、すべての結果 が真である場合に true を返します。ブロックが偽を返した時点で、 ただちに false を返します。

例:

# すべて正の数か?
p [5,  6, 7].all? {|v| v > 0 }   # => true
p [5, -1, 7].all? {|v| v > 0 }   # => false
any? -> bool
any? {|item| ... } -> bool

すべての要素が偽である場合に false を返します。 真である要素があれば、ただちに true を返します。

ブロックを伴う場合は、各要素に対してブロックを評価し、すべての結果 が偽である場合に false を返します。ブロックが真を返した時点 で、ただちに true を返します。

例:

p [1, 2, 3].any? {|v| v > 3 }   # => false
p [1, 2, 3].any? {|v| v > 1 }   # => true
chunk {|elt| ... } -> Enumerator
chunk(initial_state) {|elt, state| ... } -> Enumerator

要素を前から順にブロックで評価し、その結果によって 要素をチャンクに分けた(グループ化した)要素を持つ Enumerator を返します。

ブロックの評価値が同じ値が続くものを一つのチャンクとして 取り扱います。すなわち、ブロックの評価値が一つ前と 異なる所でチャンクが区切られます。

返り値の Enumerator は各チャンクのブロック評価値と 各チャンクの要素を持つ配列のペアを各要素とします。 そのため、eachだと以下のようになります。

enum.chunk {|elt| key }.each {|key, ary| ... }
enum.chunk(initial_state) {|elt, state| key }.each {|key, ary| ... }

例として、整数列を連続する奇数/偶数に分ける例を見てみます。 「n.even?」が変換するところで区切られているのがわかるでしょう。

[3,1,4,1,5,9,2,6,5,3,5].chunk {|n|
  n.even?
}.each {|even, ary|
  p [even, ary]
}
#=> [false, [3, 1]]
#   [true, [4]]
#   [false, [1, 5, 9]]
#   [true, [2, 6]]
#   [false, [5, 3, 5]]

このメソッドは各要素が既にソートされている場合に便利です。 以下の例では、テキスト辞書ファイル(中身がソートされている) に含まれる単語を先頭の文字ごとに数えています。

# line.ord は先頭の文字のコードポイントを返す
open("/usr/share/dict/words", "r:iso-8859-1") {|f|
  f.chunk {|line| line.ord }.each {|ch, lines| p [ch.chr, lines.length] }
}
#=> ["\n", 1]
#   ["A", 1327]
#   ["B", 1372]
#   ["C", 1507]
#   ["D", 791]
#   ...

さらにこのメソッドは以下の値を特別扱いします。

  • ブロックの評価値が nil もしくは :_separator であった場合、 その要素を捨てます。チャンクはこの前後で区切られます。
  • ブロックの評価値 :_alone であった場合はその要素は 単独のチャンクをなすものと解釈されます。

アンダースコアで始まるシンボルはこのメソッドでは予約されています。 ブロックの返り値としては用いないでください。

nil、 :_separator はある要素を無視したい場合に用います。 例として svn log の出力のハイフンの所で区切りたい場合を考えます。

sep = "-"*72 + "\n" # ハイフンが72個の行
IO.popen("svn log README") {|f|
  f.chunk {|line|
    line != sep || nil
  }.each {|_, lines|
    pp lines
  }
}
#=> ["r20018 | knu | 2008-10-29 13:20:42 +0900 (Wed, 29 Oct 2008) | 2 lines\n",
#    "\n",
#    "* README, README.ja: Update the portability section.\n",
#    "\n"]
#   ["r16725 | knu | 2008-05-31 23:34:23 +0900 (Sat, 31 May 2008) | 2 lines\n",
#    "\n",
#    "* README, README.ja: Add a note about default C flags.\n",
#    "\n"]
#   ...

テキストを空行で区切られた段落に分けたい場合にも nil が使えます。

File.foreach("README").chunk {|line|
  /\A\s*\z/ !~ line || nil
}.each {|_, lines|
  pp lines
}

「:_alone」は要素を素通ししたい場合に用います。 以下の例では「Foo#bar」という形式の行が連続している場合のみ チャンク化し、それ以外は素通しします。

pat = /\A[A-Z][A-Za-z0-9_]+\#/
open(filename) {|f|
  f.chunk {|line| pat =~ line ? $& : :_alone }.each {|key, lines|
    if key != :_alone
      print lines.sort.join('')
    else
      print lines.join('')
    end
  }
}

チャンク化に状態遷移が必要な場合は、 オプション引数 initial_state に状態を保持するオブジェクトを渡します。 この場合、ブロックの第2引数にはこのオブジェクトが dup で複製 されて渡されます。

[PARAM] initial_state:
状態を保持するオブジェクト
[EXCEPTION] RuntimeError:
予約されている値を用いた場合に発生します
class -> Class

レシーバのクラスを返します。

p "ruby".class #=> String
p 999999999999999.class #=> Bignum
p ARGV.class #=> Array
p self.class #=> Object
p Class.class #=> Class
p Kernel.class #=> Module

[SEE_ALSO] Class#superclass,Object#kind_of?,Object#instance_of?

clone -> object
dup -> object

オブジェクトの複製を作成して返します。

dup はオブジェクトの内容, taint 情報をコピーし、 clone はそれに加えて freeze, 特異メソッドなどの情報も含めた完全な複製を作成します。

clone や dup は浅い(shallow)コピーであることに注意してください。後述。

[EXCEPTION] TypeError:
TrueClass, FalseClass, NilClass, Symbol, そして Numeric クラスのインスタンスなど一部の オブジェクトを複製しようとすると発生します。
obj = "string"
obj.taint
def obj.fuga
end
obj.freeze

p(obj.equal?(obj))          #=> true
p(obj == obj)               #=> true
p(obj.tainted?)             #=> true
p(obj.frozen?)              #=> true
p(obj.respond_to?(:fuga))   #=> true

obj_c = obj.clone

p(obj.equal?(obj_c))        #=> false
p(obj == obj_c)             #=> true
p(obj_c.tainted?)           #=> true
p(obj_c.frozen?)            #=> true
p(obj_c.respond_to?(:fuga)) #=> true

obj_d = obj.dup

p(obj.equal?(obj_d))        #=> false
p(obj == obj_d)             #=> true
p(obj_d.tainted?)           #=> true
p(obj_d.frozen?)            #=> false
p(obj_d.respond_to?(:fuga)) #=> false

[SEE_ALSO] Object#initialize_copy

深いコピーと浅いコピー

clone や dup はオブジェクト自身を複製するだけで、オブジェクトの指し ている先(たとえば配列の要素など)までは複製しません。これを浅いコピー(shallow copy)といいます。

深い(deep)コピーが必要な場合には、 Marshalモジュールを利用して

Marshal.load(Marshal.dump(obj))

このように複製を作成する方法があります。ただしMarshal出来ないオブジェクトが 含まれている場合には使えません。

obj = ["a","b","c"]

obj_d = obj.dup
obj_d[0] << "PLUS"

p obj   #=> ["aPLUS", "b", "c"]
p obj_d #=> ["aPLUS", "b", "c"]

obj_m = Marshal.load(Marshal.dump(obj))
obj_m[1] << "PLUS"

p obj   #=> ["aPLUS", "b", "c"]
p obj_m #=> ["aPLUS", "bPLUS", "c"]
collect -> Enumerator
map -> Enumerator
collect {|item| ... } -> [object]
map {|item| ... } -> [object]

各要素に対してブロックを評価した結果を全て含む配列を返します。

ブロックを省略した場合、上で説明した繰り返しを実行し、その結果として 得られる配列を返すような Enumerator オブジェクトを返します。

例:

# すべて 3 倍にする
p [1, 2, 3].map {|n| n * 3 }  # => [3, 6, 9]
flat_map -> Enumerator
collect_concat -> Enumerator
flat_map {| obj | block } -> Array
collect_concat {| obj | block } -> Array

各要素をブロックに渡し、その返り値を連結した配列を返します。

ブロックの返り値は基本的に配列を返すべきです。

ブロックを省略した場合は、ブロックを受けとり 上で説明した評価をし、その結果の配列を返す Enumerator オブジェクトを返します。

[[1,2], [3,4]].flat_map{|i| i.map{|j| j*2}} # => [2,4,6,8]
count -> Integer
count(item) -> Integer
count {|obj| ... } -> Integer

レシーバの要素数を返します。

引数を指定しない場合は、レシーバの要素数を返します。 このとき、レシーバが size メソッドを持っていればそちらを使用します。 レシーバが size メソッドを持っていない場合は、要素数を一つずつカウントします。

引数を一つ指定した場合は、レシーバの要素のうち引数に一致するものの 個数をカウントして返します(一致は == で判定します)。

ブロックを指定した場合は、ブロックを評価して真になった要素の個数を カウントして返します。

[PARAM] item:
カウント対象となる値。

例:

ary = [1, 2, 4, 2]
ary.count             # => 4
ary.count(2)          # => 2
ary.count{|x|x%2==0}  # => 3
cycle(n=nil) -> Enumerator
cycle(n=nil) {|obj| ... } -> object | nil

Enumerable オブジェクトの各要素を n 回 or 無限回(n=nil)繰り返し ブロックを呼びだします。

n に 0 もしくは負の値を渡した場合は何もしません。 繰り返しが最後まで終了した場合(つまりbreakなどで中断しなかった場合) は nil を返します。 このメソッドは内部の配列に各要素を保存しておくため、 一度 Enumerable の終端に到達した後に自分自身を変更しても このメソッドの動作に影響を与えません。

a = ["a", "b", "c"]
a.cycle {|x| puts x }  # print, a, b, c, a, b, c,.. forever.
a.cycle(2) {|x| puts x }  # print, a, b, c, a, b, c.

ブロックを省略した場合は、n 回 or 無限回 enum の各要素を 繰り返す Enumerator を返します。

[RETURN]
ブロックを指定しなかった場合は、Enumerator を返します。 レシーバが空の場合は nil を返します。
find(ifnone = nil) -> Enumerator
detect(ifnone = nil) -> Enumerator
find(ifnone = nil) {|item| ... } -> object
detect(ifnone = nil) {|item| ... } -> object

要素に対してブロックを評価した値が真になった最初の要素を返します。

真になる要素が見つからず、ifnone も指定されていないときは nil を返します。 真になる要素が見つからず、ifnone が指定されているときは ifnone を call した結果を返します。

ブロックを省略した場合は、各要素に対しブロックを真になるまで評価し、最初に 真になった値を返すような Enumerator を返します。

[PARAM] ifnone:
call メソッドを持つオブジェクト (例えば Proc) を指定します。

例:

# 最初の 3 の倍数を探す
p [1, 2, 3, 4, 5].find {|i| i % 3 == 0 }   # => 3
p [2, 2, 2, 2, 2].find {|i| i % 3 == 0 }   # => nil

# ifnone の使用例
ifnone = proc { raise ArgumentError, "item not found" }
p [1, 2, 3, 4, 5].find(ifnone) {|i| i % 7 == 0 }
    # ArgumentError: item not found
display(out = $stdout) -> nil

オブジェクトを out に出力します。

以下のように定義されています。

class Object
  def display(out = $stdout)
    out.print self.to_s
    nil
  end
end
[PARAM] out:
出力先のIOオブジェクトです。指定しない場合は標準出力に出力されます。
[RETURN]
nil を返します。
Object.new.display #=> #<Object:0xbb0210>

[SEE_ALSO] $stdout

drop(n) -> Array

Enumerable オブジェクトの先頭の n 要素を捨てて、 残りの要素を配列として返します。

[PARAM] n:
捨てる要素数。
a = [1, 2, 3, 4, 5, 0]
a.drop(3)             # => [4, 5, 0]
drop_while -> Enumerator
drop_while {|element| ... } -> Array

ブロックを評価して最初に偽となった要素の手前の要素まで捨て、 残りの要素を配列として返します。

ブロックを指定しなかった場合は、Enumerator を返します。

a = [1, 2, 3, 4, 5, 0]
a.drop_while {|i| i < 3 }   # => [3, 4, 5, 0]
each {|value| ... } -> self
each -> Enumerator

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体の各メンバに対して繰り返します。

each_cons(n) -> Enumerator
each_cons(n) {|list| ... } -> nil

要素を重複ありで n 要素ずつに区切り、 ブロックに渡して繰り返します。

ブロックを省略した場合は重複ありで n 要素ずつ繰り返す Enumerator を返します。

[PARAM] n:
ブロックに渡す要素の数です。正の整数を与えます。 要素数より大きな数を与えると、ブロックは一度も実行されません。

例:

(1..10).each_cons(3){|v| p v }
# => [1, 2, 3]
#    [2, 3, 4]
#    [3, 4, 5]
#    [4, 5, 6]
#    [5, 6, 7]
#    [6, 7, 8]
#    [7, 8, 9]
#    [8, 9, 10]

[SEE_ALSO] Enumerable#each_slice

each_entry -> Enumerator
each_entry {|obj| block} -> self

ブロックを各要素に一度ずつ適用します。

一要素として複数の値が渡された場合はブロックには配列として渡されます。

class Foo
  include Enumerable
  def each
    yield 1
    yield 1,2
  end
end
Foo.new.each_entry{|o| print o, " -- "}
# => 1 -- [1, 2] --

ブロックを省略した場合は Enumerator が返されます。

[SEE_ALSO] Enumerable#slice_before

each_pair {|member, value| ... } -> self
each_pair -> Enumerator

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体のメンバ名(Symbol)と値の組を引数にブロックを繰り返し実行します。

Foo = Struct.new(:foo, :bar)
Foo.new('FOO', 'BAR').each_pair {|m, v| p [m,v]}
# => [:foo, "FOO"]
     [:bar, "BAR"]
each_slice(n) -> Enumerator
each_slice(n) {|list| ... } -> nil

n 要素ずつブロックに渡して繰り返します。

要素数が n で割り切れないときは、最後の回だけ要素数が減ります。

ブロックを省略した場合は n 要素ずつ繰り返す Enumerator を返します。

[PARAM] n:
区切る要素数を示す整数です。

例:

(1..10).each_slice(3) {|a| p a}
    # => [1, 2, 3]
    #    [4, 5, 6]
    #    [7, 8, 9]
    #    [10]

[SEE_ALSO] Enumerable#each_cons

each_with_index -> Enumerator
each_with_index {|item, index| ... } -> self

要素とそのインデックスをブロックに渡して繰り返します。

self を返します。

ブロックを省略した場合は、 要素とそのインデックスを繰り返すような Enumerator を返します。

例:

[5, 10, 15].each_with_index do |n, idx|
  p [n, idx]
end
    # => [5, 0]
    #    [10, 1]
    #    [15, 2]
each_with_object(obj) -> Enumerator
each_with_object(obj) {|(*args), memo_obj| ... } -> object

与えられた任意のオブジェクトと要素をブロックに渡し繰り返し、最初に与えられたオブジェクトを返します。

ブロックを省略した場合は、上の繰り返しをして、最初に与えたオブジェクトを 最後に返す Enumerator を返します。

[PARAM] obj:
任意のオブジェクトを指定します。
evens = (1..10).each_with_object([]) {|i, a| a << i*2 }
# => [2, 4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18, 20]

[SEE_ALSO] Enumerator#with_object

to_a -> [object]
entries -> [object]

全ての要素を含む配列を返します。

to_enum(method = :each, *args) -> Enumerator
enum_for(method = :each, *args) -> Enumerator

Enumerator.new(self, method, *args) を返します。

[PARAM] method:
メソッド名の文字列かシンボルです。
[PARAM] args:
呼び出すメソッドに渡される引数です。
[EXCEPTION] NameError:
存在しないメソッド名を指定すると発生します。
str = "xyz"

enum = str.enum_for(:each_byte)
p(a = enum.map{|b| '%02x' % b }) #=> ["78", "79", "7a"]

# protects an array from being modified
a = [1, 2, 3]
p(a.to_enum) #=> #<Enumerator: [1, 2, 3]:each>

[SEE_ALSO] Enumerator

eql?(other) -> bool

自身と other のクラスが同じであり、各メンバが eql? メソッドで比較して等しい場合に true を返します。そうでない場合に false を返します。

[PARAM] other:
自身と比較したいオブジェクトを指定します。
Dog = Struct.new(:name, :age)
dog1 = Dog.new("fred", 5)
dog2 = Dog.new("fred", 5)

p dog1 == dog2                #=> true
p dog1.eql?(dog2)             #=> true
p dog1.equal?(dog2)           #=> false

[SEE_ALSO] Struct#==

eql?(other) -> bool

オブジェクトと other が等しければ真を返します。Hash で二つのキー が等しいかどうかを判定するのに使われます。

このメソッドは各クラスの性質に合わせて再定義すべきです。 多くの場合、 == と同様に同値性の判定をするように再定義されていますが、 適切にキー判定ができるようにより厳しくなっている場合もあります。

デフォルトでは equal? と同じオブジェクト の同一性判定になっています。

このメソッドを再定義した時には Object#hash メソッ ドも再定義しなければなりません。

[PARAM] other:
比較するオブジェクトです。
p("foo".eql?("bar")) #=> false
p("foo".eql?("foo")) #=> true

p(4.eql?(4)) #=> true
p(4.eql?(4.0)) #=> false

[SEE_ALSO] Object#hash,Object#equal?,Object#==

equal?(other) -> bool

指定された other が self 自身である場合のみ真を返します。 これは Object クラスで定義されたデフォルトの動作で す。

[SEE_ALSO] Struct#eql?, Struct#==

equal?(other) -> bool

other が self 自身の時、真を返します。

二つのオブジェクトが同一のものかどうか調べる時に使用します。 このメソッドを再定義してはいけません。

お互いのObject#object_idが一致する かどうかを調べます。

[PARAM] other:
比較するオブジェクトです。
p("foo".equal?("bar")) #=> false
p("foo".equal?("foo")) #=> false

p(4.equal?(4)) #=> true
p(4.equal?(4.0)) #=> false

p(:foo.equal? :foo) #=> true

[SEE_ALSO] Object#object_id,Object#==,Object#eql?,Symbol

extend(*modules) -> self

引数で指定したモジュールのインスタンスメソッドを self の特異 メソッドとして追加します。

Module#include は、クラス(のインスタンス)に機能を追加します が、extend は、ある特定のオブジェクトだけにモジュールの機能を追加 したいときに使用します。

引数に複数のモジュールを指定した場合、最後 の引数から逆順に extend を行います。

[PARAM] modules:
モジュールを任意個指定します(クラスは不可)。
[RETURN]
self を返します。
module Foo
  def a
    'ok Foo'
  end
end

module Bar
  def b
    'ok Bar'
  end
end

obj = Object.new
obj.extend Foo, Bar
p obj.a #=> "ok Foo"
p obj.b #=> "ok Bar"

class Klass
  include Foo
  extend Bar
end

p Klass.new.a #=> "ok Foo"
p Klass.b     #=> "ok Bar"

extend の機能は、「特異クラスに対する Module#include」 と言い替えることもできます。 ただしその場合、フック用のメソッド が Module#extended ではなく Module#included になるという違いがあります。

# obj.extend Foo, Bar とほぼ同じ
class << obj
  include Foo, Bar
end

[SEE_ALSO] Module#extend_object,Module#include,Module#extended

find_all -> Enumerator
select -> Enumerator
find_all {|item| ... } -> [object]
select {|item| ... } -> [object]

各要素に対してブロックを評価した値が真であった要素を全て含む配列を 返します。真になる要素がひとつもなかった場合は空の配列を返します。

ブロックを省略した場合は、各要素に対しブロックを評価し 真になった値の配列を返すような Enumerator を返します。

find_index -> Enumerator
find_index {|obj| ... } -> Integer | nil

要素を先頭から順にブロックに渡して評価し、最初に真になった要素のインデックスを返します。 一つも真にならなければ nil を返します。

(1..10).find_index  {|i| i % 5 == 0 and i % 7 == 0 }   #=> nil
(1..100).find_index {|i| i % 5 == 0 and i % 7 == 0 }   #=> 34

ブロックを指定しなかった場合は、Enumerator を返します。

first -> object | nil
first(n) -> Array

Enumerable オブジェクトの最初の要素、もしくは最初の n 要素を返します。

Enumerable オブジェクトが空の場合、引数を指定しない形式では nil を返します。 引数を指定する形式では、空の配列を返します。

[PARAM] n:
取得する要素数。
e = "abcd".each_byte
e.first #=> 97
e.first(2) #=> [97,98]
e = "".each_byte
e.first #=> nil
e.first(2) #=> []
freeze -> self

オブジェクトを凍結(内容の変更を禁止)します。

凍結されたオブジェクトの変更は 例外 RuntimeError を発生させます。 いったん凍結されたオブジェクトを元に戻す方法はありません。

凍結されるのはオブジェクトであり、変数ではありません。代入などで変数の指す オブジェクトが変化してしまうことは freeze では防げません。 freeze が防ぐのは、 `破壊的な操作' と呼ばれるもの一般です。変数への参照自体を凍結したい 場合は、グローバル変数なら Kernel.#trace_var が使えます。

[RETURN]
self を返します。
a1 = "foo".freeze
a1 = "bar"
p a1 #=> "bar"

a2 = "foo".freeze
a2.replace("bar")# can't modify frozen string (RuntimeError)

凍結を解除することはできませんが、Object#dup を使えばほぼ同じ内容の凍結されていない オブジェクトを得ることはできます。

a = [1].freeze
p a.frozen?     #=> true

a[0] = "foo"
p a             # can't modify frozen array (RuntimeError)

b = a.dup
p b             #=> [1]
p b.frozen?     #=> false

b[0] = "foo"
p b             #=> ["foo"]

[SEE_ALSO] Object#frozen?,Object#dup,Kernel.#trace_var

frozen? -> bool

オブジェクトが凍結(内容の変更を禁止)されているときに真を返します。

obj = "someone"
p obj.frozen? #=> false
obj.freeze
p obj.frozen? #=> true

[SEE_ALSO] Object#freeze

grep(pattern) -> [object]
grep(pattern) {|item| ... } -> [object]

pattern === item が成立する要素を全て含んだ配列を返します。

ブロックとともに呼び出された時には条件の成立した要素に対して それぞれブロックを評価し、その結果の配列を返します。 マッチする要素がひとつもなかった場合は空の配列を返します。

[PARAM] pattern:
「===」メソッドを持つオブジェクトを指定します。

例:

  ['aa', 'bb', 'cc', 'dd', 'ee'].grep(/[bc]/)  # => ["bb", "cc"]

Array.instance_methods.grep(/gr/) # => [:grep, :group_by]
group_by -> Enumerator
group_by {|obj| ... } -> Hash

ブロックを評価した結果をキー、対応する要素の配列を値とするハッシュを返します。

(1..6).group_by {|i| i%3}   #=> {0=>[3, 6], 1=>[1, 4], 2=>[2, 5]}

ブロックを省略した場合は、最後に Hash を返す Enumerator オブジェクトを返します。

hash -> Integer

自身が保持するメンバのハッシュ値を元にして算出した整数を返します。 自身が保持するメンバの値が変化すればこのメソッドが返す値も変化します。

Dog = Struct.new(:name, :age)
dog = Dog.new("fred", 5)
p dog.hash                    #=> 7917421
dog.name = "john"
p dog.hash                    #=> -38913223
hash -> Fixnum

オブジェクトのハッシュ値を返します。Hash クラスでオブジェク トを格納するのに用いられています。

メソッド hash は Object#eql? と組み合わせて Hash クラスで利用されます。その際

A.eql?(B) ならば A.hash == B.hash

の関係を必ず満たしていなければいけません。eql? を再定義した時には必ずこちらも合わせ て再定義してください。

デフォルトでは、Object#object_id と同じ値を返します。 ただし、Fixnum, Symbol, String だけは組込みのハッ シュ関数が使用されます(これを変えることはできません)。

hash を再定義する場合は、一様に分布する任意の整数を返すようにします。

[RETURN]
ハッシュ値を返します。Fixnumに収まらない場合は切り捨てられます。
p self.hash #=> 21658870
p 0.hash #=> 1
p 0.0.hash #=> 0
p nil.hash #=> 4

p "ruby".hash #=> -241670986
p "ruby".hash #=> -241670986
p :ruby.hash #=> 103538
p :ruby.hash #=> 103538

[SEE_ALSO] Object#eql?,BasicObject#__id__

member?(val) -> bool
include?(val) -> bool

val と == の関係にある要素を含むとき真を返します。

[PARAM] val:
任意のオブジェクト
inject(init = self.first) {|result, item| ... } -> object
inject(sym) -> object
inject(init, sym) -> object
reduce(init = self.first) {|result, item| ... } -> object
reduce(sym) -> object
reduce(init, sym) -> object

リストのたたみこみ演算を行います。

最初に初期値 init と self の最初の要素を引数にブロックを実行します。 2 回目以降のループでは、前のブロックの実行結果と self の次の要素を引数に順次ブロックを実行します。 そうして最後の要素まで繰り返し、最後のブロックの実行結果を返します。

要素が存在しない場合は init を返します。

初期値 init を省略した場合は、 最初に先頭の要素と 2 番目の要素をブロックに渡します。 また要素が 1 つしかなければブロックを実行せずに最初の要素を返します。 要素がなければブロックを実行せずに nil を返します。

[PARAM] init:
最初の result の値です。任意のオブジェクトが渡せます。
[PARAM] sym:
ブロックの代わりに使われるメソッド名を表す Symbol オブジェクトを指定します。 実行結果に対して sym という名前のメソッドが呼ばれます。

例:

# 合計を計算する。
p [2, 3, 4, 5].inject {|result, item| result + item }        #=> 14

# 自乗和を計算する。初期値をセットする必要がある。
p [2, 3, 4, 5].inject(0) {|result, item| result + item**2 }  #=> 54

この式は以下のように書いても同じ結果が得られます。

result = 0
[1, 2, 3, 4, 5].each {|v| result += v }
p result   # => 15

p [1, 2, 3, 4, 5].inject(:+)                    #=> 15
p ["b", "c", "d"].inject("abbccddde", :squeeze) #=> "abcde"
inspect -> String

オブジェクトを人間が読める形式に変換した文字列を返します。

組み込み関数 Kernel.#p は、このメソッドの結果を使用して オブジェクトを表示します。

puts Class.new.inspect #=> #<Class:0xbafd88>
puts Time.now.inspect #=> 2007-10-15 21:01:37 +0900

[SEE_ALSO] Kernel.#p

instance_of?(klass) -> bool

オブジェクトがクラス klass の直接のインスタンスである時真を返します。

obj.instance_of?(c) が成立する時には、常に obj.kind_of?(c) も成立します。

[PARAM] klass:
Classかそのサブクラスのインスタンスです。
class C < Object
end
class S < C
end

obj = S.new
p obj.instance_of?(S)       # true
p obj.instance_of?(C)       # false

[SEE_ALSO] Object#kind_of?,Object#class

instance_variable_defined?(var) -> bool

インスタンス変数 var が定義されていたら真を返します。

[PARAM] var:
インスタンス変数名を文字列か Symbol で指定します。
class Fred
  def initialize(p1, p2)
    @a, @b = p1, p2
  end
end
fred = Fred.new('cat', 99)
p fred.instance_variable_defined?(:@a)    #=> true
p fred.instance_variable_defined?("@b")   #=> true
p fred.instance_variable_defined?("@c")   #=> false

[SEE_ALSO] Object#instance_variable_get,Object#instance_variable_set,Object#instance_variables

instance_variable_get(var) -> object|nil

オブジェクトのインスタンス変数の値を取得して返します。

インスタンス変数が定義されていなければ nil を返します。

[PARAM] var:
インスタンス変数名を文字列か Symbol で指定します。
class Foo
  def initialize
    @foo = 1
  end
end

obj = Foo.new
p obj.instance_variable_get("@foo")     #=> 1
p obj.instance_variable_get(:@foo)      #=> 1
p obj.instance_variable_get(:@bar)      #=> nil

[SEE_ALSO] Object#instance_variable_set,Object#instance_variables,Object#instance_variable_defined?

instance_variable_set(var, value) -> object

オブジェクトのインスタンス変数 var に値 value を設定します。

インスタンス変数が定義されていなければ新たに定義されます。

[PARAM] var:
インスタンス変数名を文字列か Symbol で指定します。
[PARAM] value:
設定する値です。
[RETURN]
value を返します。
obj = Object.new
p obj.instance_variable_set("@foo", 1)  #=> 1
p obj.instance_variable_set(:@foo, 2)   #=> 2
p obj.instance_variable_get(:@foo)      #=> 2

[SEE_ALSO] Object#instance_variable_get,Object#instance_variables,Object#instance_variable_defined?

instance_variables -> [Symbol]

オブジェクトのインスタンス変数名をシンボルの配列として返します。

obj = Object.new
obj.instance_eval { @foo, @bar = nil }
p obj.instance_variables

#=> [:@foo, :@bar]

[SEE_ALSO] Object#instance_variable_get,Kernel.#local_variables,Kernel.#global_variables,Module.constants,Module#constants,Module#class_variables

is_a?(mod) -> bool
kind_of?(mod) -> bool

オブジェクトが指定されたクラス mod かそのサブクラスのインスタンスであるとき真を返します。

また、オブジェクトがモジュール mod をインクルードしたクラスかそのサブクラス のインスタンスである場合にも真を返します。 上記のいずれでもない場合に false を返します。

[PARAM] mod:
クラスやモジュールなど、Moduleかそのサブクラスのインスタンスです。
module M
end
class C < Object
  include M
end
class S < C
end

obj = S.new
p obj.is_a?(S)       # true
p obj.is_a?(C)       # true
p obj.is_a?(Object)  # true
p obj.is_a?(M)       # true
p obj.is_a?(Hash)    # false

[SEE_ALSO] Object#instance_of?,Module#===,Object#class

length -> Fixnum
size -> Fixnum

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体のメンバの数を返します。

marshal_dump -> object

Marshal.#dump を制御するメソッドです。

Marshal.dump(some) において、出力するオブジェクト some がメソッド marshal_dump を 持つ場合には、その返り値がダンプされたものが Marshal.dump(some) の返り値となります。

marshal_dump/marshal_load の仕組みは Ruby 1.8.0 から導入されました。 これから書くプログラムでは _dump/_load ではなく marshal_dump/marshal_load を使うべきです。

[RETURN]
任意のオブジェクトで marshal_load の引数に利用できます。
class Foo
  def initialize(arg)
    @foo = arg
  end
  def marshal_dump
    @foo
  end
  def marshal_load(obj)
    p obj
    @foo = obj
  end
end
foo = Foo.new(['foo', 'bar'])
p foo                      #=> #<Foo:0xbaf3b0 @foo=["foo", "bar"]>
dms = Marshal.dump(foo)
p dms                      #=> "\004\bU:\bFoo[\a\"\bfoo\"\bbar"
result = Marshal.load(dms) #=> ["foo", "bar"] # marshal_load の引数
p result                   #=> #<Foo:0xbaf2ac @foo=["foo", "bar"]>

インスタンス変数の情報は普通マーシャルデータに含まれるので、 上例のように marshal_dump を定義する必要はありません (ただし marshal_dump を定義するとインスタンス変数の情報は ダンプされなくなるので、marshal_dump/marshal_load で扱う必要があります)。 marshal_dump/marshal_load はより高度な制御を行いたい場合や 拡張ライブラリで定義したクラスのインスタンスがインスタンス変数以外 に情報を保持する場合に利用します。

特に、marshal_dump/marshal_load を定義したオブジェクトは 特異メソッドが定義されていてもマーシャルできるようになります (特異メソッドの情報が自動的に dump されるようになるわけではなく、 marshal_dump/marshal_load によりそれを実現する余地があるということです)。

[SEE_ALSO] Object#marshal_load, Marshal

marshal_load(obj) -> object

Marshal.#load を制御するメソッドです。

some のダンプ結果(Marshal.dump(some)) をロードする(Marshal.load(Marshal.dump(some)))に は some がメソッド marshal_load を持っていなければなりません。 このとき、marshal_dump の返り値が marshal_load の引数に利用されます。 marshal_load 時の self は、生成されたばかり(Class#allocate されたばかり) の状態です。

marshal_dump/marshal_load の仕組みは Ruby 1.8.0 から導入されました。 これから書くプログラムでは _dump/_load ではなく marshal_dump/marshal_load を使うべきです。

[PARAM] obj:
marshal_dump の返り値のコピーです。
[RETURN]
返り値は無視されます。

[SEE_ALSO] Object#marshal_dump, Marshal

max -> object

最大の要素を返します。 全要素が互いに <=> メソッドで比較できることを仮定しています。

要素が存在しなければ nil を返します。 該当する要素が複数存在する場合、どの要素を返すかは不定です。

max {|a, b| ... } -> object

ブロックの評価結果で各要素の大小判定を行い、最大の要素を返します。 要素が存在しなければ nil を返します。

ブロックの値は、a > b のとき正、 a == b のとき 0、a < b のとき負の整数を、期待しています。

該当する要素が複数存在する場合、どの要素を返すかは不定です。

[EXCEPTION] TypeError:
ブロックが整数以外を返したときに発生します。
max_by -> Enumerator
max_by {|item| ... } -> object

各要素を順番にブロックに渡して実行し、 その評価結果を <=> で比較して、 最大であった値に対応する元の要素を返します。

要素が存在しないときは nil を返します。 該当する要素が複数存在する場合、どの要素を返すかは不定です。

Enumerable#maxEnumerable#max_by の 違いは Enumerable#sortEnumerable#sort_by の違いと同じです。

ブロックを省略した場合は、各要素を順番にブロックに渡して評価し、 その結果が最小となる値に対応する要素を返す Enumerator を 返します。

[SEE_ALSO] Enumerable#sort_by

members -> [String]

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体のメンバの名前(文字列)の配列を返します。

Foo = Struct.new(:foo, :bar)
p Foo.new.members  # => ["foo", "bar"]
method(name) -> Method

オブジェクトのメソッド name をオブジェクト化した Method オブジェクトを返します。

[PARAM] name:
メソッド名をSymbol またはStringで指定します。
[EXCEPTION] NameError:
定義されていないメソッド名を引数として与えると発生します。
me = -365.method(:abs)
p me #=> #<Method: Fixnum#abs>
p me.call #=> 365

[SEE_ALSO] Module#instance_method,Method,Object#__send__,Kernel.#eval

methods(include_inherited = true) -> [Symbol]

そのオブジェクトに対して呼び出せるメソッド名の一覧を返します。 このメソッドは public メソッドおよび protected メソッドの名前を返します。

ただし特別に、引数が偽の時は Object#singleton_methods(false) と同じになっています。

[PARAM] include_inherited:
引数が偽の時は Object#singleton_methods(false) と同じになります。
#例1:

class Parent
  private;   def private_parent()   end
  protected; def protected_parent() end
  public;    def public_parent()    end
end

class Foo < Parent
  private;   def private_foo()   end
  protected; def protected_foo() end
  public;    def public_foo()    end
end

obj = Foo.new
class <<obj
    private;   def private_singleton()   end
    protected; def protected_singleton() end
    public;    def public_singleton()    end
end

# あるオブジェクトの応答できるメソッドの一覧を得る。
p obj.methods(false)
p obj.public_methods(false)
p obj.private_methods(false)
p obj.protected_methods(false)

#実行結果

[:protected_singleton, :public_singleton]
[:public_singleton, :public_foo]
[:private_singleton, :private_foo]
[:protected_singleton, :protected_foo]

#例2:

# あるオブジェクトの応答できるメソッドの一覧を得る。
# 自身のクラスの親クラスのインスタンスメソッドも含めるために true を指定して
# いるが、Object のインスタンスメソッドは一覧から排除している。
p obj.methods(true)           - Object.instance_methods(true)
p obj.public_methods(true)    - Object.public_instance_methods(true)
p obj.private_methods(true)   - Object.private_instance_methods(true)
p obj.protected_methods(true) - Object.protected_instance_methods(true)

#実行結果

[:protected_singleton, :public_singleton, :protected_foo, :public_foo, :protected_parent, :public_parent]
[:public_singleton, :public_foo, :public_parent]
[:private_singleton, :private_foo, :private_parent]
[:protected_singleton, :protected_foo, :protected_parent]

[SEE_ALSO] Module#instance_methods,Object#singleton_methods

min -> object

最小の要素を返します。 全要素が互いに <=> メソッドで比較できることを仮定しています。

要素が存在しなければ nil を返します。 該当する要素が複数存在する場合、どの要素を返すかは不定です。

min {|a, b| ... } -> object

ブロックの評価結果で各要素の大小判定を行い、最小の要素を返します。 要素が存在しなければ nil を返します。

ブロックの値は、a > b のとき正、a == b のとき 0、 a < b のとき負の整数を、期待しています。

該当する要素が複数存在する場合、どの要素を返すかは不定です。

[EXCEPTION] TypeError:
ブロックが整数以外を返したときに発生します。
min_by -> Enumerator
min_by {|item| ... } -> object

各要素を順番にブロックに渡して評価し、 その評価結果を <=> で比較して、 最小であった値に対応する元の要素を返します。

要素が存在しないときは nil を返します。

該当する要素が複数存在する場合、どの要素を返すかは不定です。

ブロックを省略した場合は、各要素を順番にブロックに渡して評価し、 その結果が最小となる値に対応する要素を返す Enumerator を 返します。

Enumerable#minEnumerable#min_by の 違いは Enumerable#sortEnumerable#sort_by の違いと同じです。

[SEE_ALSO] Enumerable#sort_by

minmax -> [object, object]
minmax {|a, b| ... } -> [object, object]

Enumerable オブジェクトの各要素のうち最小の要素と最大の要素を 要素とするサイズ 2 の配列を返します。

該当する要素が複数存在する場合、どの要素を返すかは不定です。

一つ目の形式は、Enumerable オブジェクトのすべての要素が Comparable を 実装していることを仮定しています。二つ目の形式では、要素同士の比較を ブロックを用いて行います。

a = %w(albatross dog horse)
a.minmax                                 #=> ["albatross", "horse"]
a.minmax{|a,b| a.length <=> b.length }   #=> ["dog", "albatross"]
[].minmax # => [nil, nil]

[SEE_ALSO] Enumerable#sort

minmax_by -> Enumerator
minmax_by {|obj| ... } -> [object, object]

Enumerable オブジェクトの各要素をブロックに渡して評価し、その結果を <=> で比較して 最小の要素と最大の要素を要素とするサイズ 2 の配列を返します。

該当する要素が複数存在する場合、どの要素を返すかは不定です。

Enumerable#minmaxEnumerable#minmax_by の 違いは sort と sort_by の違いと同じです。 詳細は Enumerable#sort_by を参照してください。

a = %w(albatross dog horse)
a.minmax_by {|x| x.length }   #=> ["dog", "albatross"]

[].minmax_by{} # => [nil, nil]

ブロックを省略した場合は、Enumerator オブジェクトを 返します。

[SEE_ALSO] Enumerable#sort_by

nil? -> bool

レシーバが nil であれば真を返します。

p false.nil? #=> false
p nil.nil? #=> true

[SEE_ALSO] NilClass

none? -> bool
none? {|obj| ... } -> bool

ブロックを指定しない場合は、 Enumerable オブジェクトのすべての 要素が偽であれば真を返します。そうでなければ偽を返します。

ブロックを指定した場合は、Enumerable オブジェクトのすべての要素を ブロックで評価した結果が、すべて偽であれば真を返します。 そうでなければ偽を返します。

%w{ant bear cat}.none? {|word| word.length == 5}  #=> true
%w{ant bear cat}.none? {|word| word.length >= 4}  #=> false
[].none?                                          #=> true
[nil].none?                                       #=> true
[nil,false].none?                                 #=> true
object_id -> Integer

各オブジェクトに対して一意な整数を返します。あるオブジェクトに対し てどのような整数が割り当てられるかは不定です。

Rubyでは、(Garbage Collectされていない)アクティブなオブジェクト間で 重複しない整数(object_id)が各オブジェクトにひとつずつ割り当てられています。この メソッドはその値を返します。

TrueClass, FalseClass, NilClass, Symbol, Fixnum クラス のインスタンスなど Immutable(変更不可)なオブジェクトの一部は同じ内容ならば必ず同じ object_id になります。

これは、Immutable ならば複数の場所から参照されても`破壊的操作'による問題が発生しないので、 同じ内容のインスタンスを複数生成しないという内部実装が理由です。

p "ruby".object_id #=> 22759500
p "ruby".object_id #=> 22759400

p [].object_id #=> 22759360
p [].object_id #=> 22759340

p :ruby.object_id #=> 103538
p :ruby.object_id #=> 103538

p 11.object_id #=> 23
p 11.object_id #=> 23

p true.object_id #=> 2
p true.object_id #=> 2

[SEE_ALSO] Object#equal?,Symbol

one? -> bool
one? {|obj| ... } -> bool

ブロックを指定しない場合は、 Enumerable オブジェクトの要素のうち ちょうど一つだけが真であれば、真を返します。 そうでなければ偽を返します。

ブロックを指定した場合は、Enumerable オブジェクトの要素を ブロックで評価した結果、一つの要素だけが真であれば真を返します。 そうでなければ偽を返します。

%w{ant bear cat}.one? {|word| word.length == 4}   #=> true
%w{ant bear cat}.one? {|word| word.length >= 4}   #=> false
[ nil, true, 99 ].one?                            #=> false
[ nil, true, false ].one?                         #=> true
partition -> Enumerator
partition {|item| ... } -> [[object], [object]]

各要素を、ブロックの条件を満たす要素と満たさない要素に分割します。 各要素に対してブロックを評価して、その値が真であった要素の配列と、 偽であった要素の配列の 2 つを配列に入れて返します。

ブロックを省略した場合は、各要素に対しブロックを評価し、 上のようにその値が真であった要素の配列と、 偽であった要素の配列のペアを返すような Enumerator を 返します。

例:

[10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 0].partition {|i| i % 3 == 0 }
 #=> [[9, 6, 3, 0], [10, 8, 7, 5, 4, 2, 1]]
private_methods(include_inherited = true) -> [Symbol]

そのオブジェクトが理解できる private メソッド名の一覧を返します。

[PARAM] include_inherited:
偽となる値を指定すると自身のクラスのスーパークラスで定義されたメソッドを除きます。

[SEE_ALSO] Module#private_instance_methods,Object#methods,Object#singleton_methods

protected_methods(include_inherited = true) -> [Symbol]

そのオブジェクトが理解できる protected メソッド名の一覧を返します。

[PARAM] include_inherited:
偽となる値を指定すると自身のクラスのスーパークラスで定義されたメソッドを除きます。

[SEE_ALSO] Module#protected_instance_methods,Object#methods,Object#singleton_methods

public_methods(include_inherited = true) -> [Symbol]

そのオブジェクトが理解できる public メソッド名の一覧を返します。

[PARAM] include_inherited:
偽となる値を指定すると自身のクラスのスーパークラスで定義されたメソッドを除きます。

[SEE_ALSO] Module#public_instance_methods,Object#methods,Object#singleton_methods

public_send(name, *args) -> object

オブジェクトの public メソッド name を args を引数にして呼び出し、メソッ ドの実行結果を返します。

1.public_send(:+, 2)  # => 3
[PARAM] name:
文字列かSymbol で指定するメソッド名です。
[PARAM] args:
呼び出すメソッドに渡す引数です。
[EXCEPTION] ArgumentError:
name を指定しなかった場合に発生します。
[EXCEPTION] NoMethodError:
protected メソッドや private メソッドに対して実行 した場合に発生します。
1.public_send(:puts, "hello")  # => NoMethodError

[SEE_ALSO] Object#send

reject -> Enumerator
reject {|item| ... } -> [object]

各要素に対してブロックを評価し、 その値が偽であった要素を集めた新しい配列を返します。 条件を反転させた select です。

ブロックを省略した場合は、各要素に対しブロックを評価し 偽になった値の配列を返すような Enumerator を返します。

例:

# 偶数を除外する (奇数を集める)
[1, 2, 3, 4, 5, 6].reject {|i| i % 2 == 0 }  # => [1, 3, 5]

[SEE_ALSO] Enumerable#select

respond_to?(name, include_private = false) -> bool

オブジェクトがメソッド name を持つとき真を返します。

オブジェクトが メソッド name を持つというのは、 オブジェクトが メソッド name に応答することができることをいいます。

[PARAM] name:
Symbol または文字列で指定するメソッド名です。
[PARAM] include_private:
private メソッドを確認の対象に含めるかを true か false で指定します。省略した場合は false(含めな い) を指定した事になります。
class F
  def hello
    "Bonjour"
  end
end

class D
private
  def hello
    "Guten Tag"
  end
end
list = [F.new,D.new]

list.each{|it| puts it.hello if it.respond_to?(:hello)}
#=> Bonjour

list.each{|it| it.instance_eval("puts hello if it.respond_to?(:hello, true)")}
#=> Bonjour
#   Guten Tag

[SEE_ALSO] Module#method_defined?

respond_to_missing?(symbol, include_private) -> bool

自身が symbol で表されるメソッドに対し BasicObject#method_missing で反応するつもりならば真を返します。

Object#respond_to? はメソッドが定義されていない場合、 デフォルトでこのメソッドを呼びだし問合せます。

BasicObject#method_missing を override した場合にこのメソッドも override されるべきです。

false を返します。

[PARAM] symbol:
メソッド名シンボル
[PARAM] include_private:
private method も含めたい場合に true が渡されます

[SEE_ALSO] Object#respond_to?, BasicObject#method_missing

reverse_each -> Enumerator
reverse_each {|element| ... } -> self

逆順に各要素に対してブロックを評価します。

内部で各要素を保持した配列を作ります。

ブロックを省略した場合は、各要素を逆順に辿る Enumerator を返します。

singleton_class -> Class

レシーバの特異クラスを返します。 まだ特異クラスがなければ、新しく作成します。

レシーバが nil か true か false なら、それぞれ NilClass, TrueClass, FalseClass を返します。

[EXCEPTION] TypeError:
レシーバが Fixnum か Symbol の場合に発生します。
Object.new.singleton_class  #=> #<Class:#<Object:0xb7ce1e24>>
String.singleton_class      #=> #<Class:String>
nil.singleton_class         #=> NilClass

[SEE_ALSO] Object#class

singleton_methods(inherited_too = true) -> [Symbol]

そのオブジェクトに対して定義されている特異メソッド名 (public あるいは protected メソッド) の一覧を返します。

クラスメソッド(Classのインスタンスの特異メソッド)に関しては 引数が真のとき、スーパークラスのクラスメソッドも対象になります。

singleton_methods(false) は、Object#methods(false) と同じです。

[PARAM] inherited_too:
引数が真のとき、スーパークラスのクラスメソッドも対象になります。これが意味を持つのは self がクラスオブジェクトであるときだけです。
#例1:

Parent = Class.new

class <<Parent
  private;   def private_class_parent() end
  protected; def protected_class_parent() end
  public;    def public_class_parent() end
end

Foo = Class.new(Parent)

class <<Foo
  private;   def private_class_foo() end
  protected; def protected_class_foo() end
  public;    def public_class_foo() end
end

module Bar
  private;   def private_bar()   end
  protected; def protected_bar() end
  public;    def public_bar()    end
end

obj = Foo.new
class <<obj
  include Bar
  private;   def private_self()   end
  protected; def protected_self() end
  public;    def public_self()    end
end

# あるオブジェクトの特異メソッドの一覧を得る。
p obj.singleton_methods(false)
p obj.methods(false)
p Foo.singleton_methods(false)

#実行結果

[:protected_self, :public_self]
[:protected_self, :public_self]
[:protected_class_foo, :public_class_foo]


#例2:

# あるオブジェクトの特異メソッドの一覧を得る。
# 親クラスのクラスメソッドも含まれるよう true を指定したが、
# Object のクラスメソッドは一覧から排除している。

p obj.singleton_methods(true)
p Foo.singleton_methods(true) - Object.singleton_methods(true)

#実行結果

[:protected_self, :public_self, :protected_bar, :public_bar]
[:protected_class_foo, :public_class_foo, :protected_class_parent, :public_class_parent]

[SEE_ALSO] Object#methods,Object#extend

slice_before(pattern) -> Enumerator
slice_before {|elt| bool } -> Enumerator
slice_before(initial_state) {|elt, state| bool } -> Enumerator

パターンがマッチした要素、もしくはブロックが真を返した要素から 次にマッチする手前までを チャンク化(グループ化)したものを繰り返す Enumerator を 返します。

パターンを渡した場合は各要素に対し === が呼び出され、 それが真になったところをチャンクの先頭と見なします。 ブロックを渡した場合は、各要素に対しブロックを適用し 返り値が真であった要素をチャンクの先頭と見なします。

より厳密にいうと、「先頭要素」の手前で分割していきます。 最初の要素の評価は無視されます。

各チャンクは配列として表現されます。

Enumerable#map のようなメソッドを使うこともできます。

# 偶数要素をチャンクの先頭と見なす
[0,2,4,1,2,4,5,3,1,4,2].slice_before(&:even?).to_a
# => [[0], [2], [4, 1], [2], [4, 5, 3, 1], [4], [2]]

# 奇数要素をチャンクの先頭と見なす
[0,2,4,1,2,4,5,3,1,4,2].slice_before(&:odd?).to_a
# => [[0, 2, 4], [1, 2, 4], [5], [3], [1, 4, 2]]

# ChangeLog のエントリーを順に取る
open("ChangeLog") {|f|
  f.slice_before(/\A\S/).each {|e| pp e}
}

# 上と同じだが、パターンでなくブロックを使う
open("ChangeLog") {|f|
  f.slice_before {|line| /\A\S/ === line }.each {|e| pp e}
}

# "svn proplist -R" の結果を分割する
# これは一要素が複数行にまたがっている

IO.popen([{"LC_ALL"=>"C"}, "svn", "proplist", "-R"]) {|f|
  f.lines.slice_before(/\AProp/).each {|lines| p lines }
}
#=> ["Properties on '.':\n", "  svn:ignore\n", "  svk:merge\n"]
#   ["Properties on 'goruby.c':\n", "  svn:eol-style\n"]
#   ["Properties on 'complex.c':\n", "  svn:mime-type\n", "  svn:eol-style\n"]
#   ["Properties on 'regparse.c':\n", "  svn:eol-style\n"]
#   ...

複数要素にわたる状態遷移が必要な場合は、ローカル変数でこれを実現する ことができます。例えば、連続に増える数値が3つ以上ある場合、これを まとめる処理をするためには以下のようにします。

a = [0,2,3,4,6,7,9]
prev = a[0]
p a.slice_before {|e|
  prev, prev2 = e, prev
  prev2 + 1 != e
}.map {|es|
  es.length <= 2 ? es.join(",") : "#{es.first}-#{es.last}"
}.join(",")
#=> "0,2-4,6,7,9"

しかし、ローカル変数を使うのが不適切な場合もあります。 その場合、引数 initial_state に状態を保持するオブジェクトを 渡すと、そのオブジェクトを Object#dup したオブジェクトを 各要素ごとのブロック呼び出しの第2引数として渡します。

# word wrapping.
# this assumes all characters have same width.
def wordwrap(words, maxwidth)
  # if cols is a local variable, 2nd "each" may start with non-zero cols.
  words.slice_before(cols: 0) {|w, h|
    h[:cols] += 1 if h[:cols] != 0
    h[:cols] += w.length
    if maxwidth < h[:cols]
      h[:cols] = w.length
      true
    else
      false
    end
  }
end
text = (1..20).to_a.join(" ")
enum = wordwrap(text.split(/\s+/), 10)
puts "-"*10
enum.each {|ws| puts ws.join(" ") }
puts "-"*10
#=> ----------
#   1 2 3 4 5
#   6 7 8 9 10
#   11 12 13
#   14 15 16
#   17 18 19
#   20
#   ----------

以下は mbox を分割する例です。mbox 内の各メールは Unix From line で始まっています。そこで slice_before を用います。

# parse mbox
open("mbox") {|f|
  f.slice_before {|line|
    line.start_with? "From "
  }.each {|mail|
    unix_from = mail.shift
    i = mail.index("\n")
    header = mail[0...i]
    body = mail[(i+1)..-1]
    body.pop if body.last == "\n"
    fields = header.slice_before {|line| !" \t".include?(line[0]) }.to_a
    p unix_from
    pp fields
    pp body
  }
}

# split mails in mbox (slice before Unix From line after an empty line)
open("mbox") {|f|
  f.slice_before(emp: true) {|line,h|
    prevemp = h[:emp]
    h[:emp] = line == "\n"
    prevemp && line.start_with?("From ")
  }.each {|mail|
    mail.pop if mail.last == "\n"
    pp mail
  }
}
[PARAM] initial_state:
状態を保持するオブジェクト

[SEE_ALSO] Enumerable#chunk

sort -> [object]
sort {|a, b| ... } -> [object]

全ての要素を昇順にソートした配列を生成して返します。

ブロックなしのときは <=> メソッドを要素に対して呼び、 その結果をもとにソートします。

<=> 以外でソートしたい場合は、ブロックを指定します。 この場合、ブロックの評価結果を元にソートします。 ブロックの値は、a > b のとき正、a == b のとき 0、 a < b のとき負の整数を、期待しています。 ブロックが整数以外を返したときは例外 TypeError が発生します。

Enumerable#sort は安定ではありません (unstable sort)。 安定なソートが必要な場合は Enumerable#sort_by を使って工夫する必要があります。 詳しくは Enumerable#sort_by の項目を参照してください。

※ 比較結果が同じ要素は元の順序通りに並ぶソートを 「安定なソート (stable sort)」と言います。

[SEE_ALSO] Enumerable#sort_by

sort_by -> Enumerator
sort_by {|item| ... } -> [object]

ブロックの評価結果を <=> メソッドで比較することで、self を昇 順にソートします。ソートされた配列を新たに生成して返します。

つまり、以下とほぼ同じ動作をします。

class Array
  def sort_by
    self.map {|i| [yield(i), i] }.
       sort {|a, b| a[0] <=> b[0] }.
       map {|i| i[1]}
  end
end

Enumerable#sort と比較して sort_by が優れている点として、 比較条件が複雑な場合の速度が挙げられます。 sort_by を使わない以下の例では比較を行う度に downcase が実行されます。 従って downcase の実行速度が遅ければ sort の速度が致命的に低下します。

p ["BAR", "FOO", "bar", "foo"].sort {|a, b| a.downcase <=> b.downcase }

一方、次のように sort_by を使うと downcase の実行回数は要素数と同じです。 つまり、その部分の実行時間は O(n) のオーダーです。

p ["BAR", "FOO", "bar", "foo"].sort_by {|v| v.downcase }

以下の、実行回数の検証結果を参照してみてください。

class Integer
  def count
    $n += 1
    self
  end
end

ary = []
1.upto(1000) {|v| ary << rand(v) }

$n = 0
ary.sort {|a,b| a.count <=> b.count }
p $n          # => 18200

$n = 0
ary.sort_by {|v| v.count }
p $n          # => 1000

Enumerable#sort_by は安定ではありません (unstable sort)。 ただし、sort_by を以下のように使うと安定なソートを実装できます。

i = 0
ary.sort_by {|v| [v, i += 1] }

※ 比較結果が同じ要素は元の順序通りに並ぶソートを 「安定なソート (stable sort)」と言います。

ブロックを省略した場合は、各要素をブロックで評価した値でソートした 配列を返すような Enumerator を返します。

[SEE_ALSO] Enumerable#sort

taint -> self

オブジェクトの「汚染マーク」をセットします。

環境変数(ENVで得られる文字列)など一部のオブジェクトは最初から汚染されています。 オブジェクトの汚染に関してはセキュリティモデルを参照してください。

$SAFE = 1

some = "puts '@&%&(#!'"
p some.tainted? #=> false
eval(some) #=> @&%&(#!

some.taint
p some.tainted? #=> true
eval(some) # Insecure operation - eval (SecurityError)

some.untaint
p some.tainted? #=> false
eval(some) #=> @&%&(#!

p ENV['OS'].tainted? #=> true

[SEE_ALSO] Object#tainted?,Object#untaint,Object#freeze

tainted? -> bool

オブジェクトの「汚染マーク」がセットされている時真を返します。

オブジェクトの汚染に関してはセキュリティモデルを参照してください。

p String.new.tainted? #=> false
p ENV['OS'].tainted? #=> true

[SEE_ALSO] Object#taint,Object#untaint

take(n) -> Array

Enumerable オブジェクトの先頭から n 要素を配列として返します。

[PARAM] n:
要素数を指定します。
a = [1, 2, 3, 4, 5, 0]
a.take(3)             # => [1, 2, 3]
take_while -> Enumerator
take_while {|element| ... } -> Array

Enumerable オブジェクトの要素を順に偽になるまでブロックで評価します。 最初に偽になった要素の手前の要素までを配列として返します。

a = [1, 2, 3, 4, 5, 0]
a.take_while {|i| i < 3 }   # => [1, 2]

ブロックを省略した場合は、Enumerator オブジェクトを 返します。

tap {|x| ... } -> self

self を引数としてブロックを評価し、self を返します。

メソッドチェインの途中で直ちに操作結果を表示するために メソッドチェインに "入り込む" ことが、このメソッドの主目的です。

(1..10)                    .tap {|x| puts "original: #{x.inspect}"}.
   to_a                    .tap {|x| puts "array: #{x.inspect}"}.
   select {|x| x % 2 == 0} .tap {|x| puts "evens: #{x.inspect}"}.
   map { |x| x * x }       .tap {|x| puts "squares: #{x.inspect}"}
values -> [object]
to_a -> [object]

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 構造体のメンバの値を配列にいれて返します。

例えば以下のようにして passwd のエントリを出力できます。

require 'etc'
print Etc.getpwuid.values.join(":"), "\n"
to_a -> Array

オブジェクトを配列に変換した結果を返します。 デフォルトでは定義されていません。

説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。

p( {'a'=>1}.to_a )  # [["a", 1]]
p ['array'].to_a    # ["array"]
p nil.to_a          # []

[SEE_ALSO] Object#to_ary,Kernel.#Array

to_ary -> Array

オブジェクトの Array への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。

説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。

このメソッドを定義する条件は、

  • 配列が使われるすべての場面で代置可能であるような、
  • 配列そのものとみなせるようなもの

という厳しいものになっています。

class Foo
 def to_ary
   [3,4]
 end
end

it = Foo.new
p([1,2] + it) #=> [1, 2, 3, 4]

[SEE_ALSO] Object#to_a,Kernel.#Array

to_hash -> Hash

オブジェクトの Hash への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。

説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。

このメソッドを定義する条件は、

  • ハッシュが使われるすべての場面で代置可能であるような、
  • ハッシュそのものとみなせるようなもの

という厳しいものになっています。

class Foo
 def to_hash
   {'as' => 24}
 end
end

it = Foo.new
p({:as => 12}.merge(it)) #=> {"as"=>24, :as=>12}
to_int -> Integer

オブジェクトの Integer への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。

説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。

このメソッドを定義する条件は、

  • 整数が使われるすべての場面で代置可能であるような、
  • 整数そのものとみなせるようなもの

という厳しいものになっています。

class Foo
 def to_int
   666
 end
end

it = Foo.new
p(9**9 & it) #=> 8

[SEE_ALSO] Kernel.#Integer

to_io -> IO

オブジェクトの IO への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。

説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。

このメソッドを定義する条件は、

  • IOオブジェクトが使われるすべての場面で代置可能であるような、
  • IOオブジェクトそのものとみなせるようなもの

という厳しいものになっています。

to_proc -> Proc

オブジェクトの Proc への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。

説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。

def doing
  yield
end

class Foo
 def to_proc
   Proc.new{p 'ok'}
 end
end

it = Foo.new
doing(&it) #=> "ok"
to_regexp -> Regexp

オブジェクトの Regexp への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。

説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。

このメソッドを定義する条件は、

  • 正規表現が使われるすべての場面で代置可能であるような、
  • 正規表現そのものとみなせるようなもの

という厳しいものになっています。

class Foo
 def to_regexp
   /[\d]+/
 end
end

it = Foo.new
p Regexp.union(/^at/, it) #=> /(?-mix:^at)|(?-mix:[\d]+)/
to_s -> String

オブジェクトの文字列表現を返します。

Kernel.#printKernel.#sprintf は文字列以外の オブジェクトが引数に渡された場合このメソッドを使って文字列に変換し ます。

class Foo
  def initialize num
    @num = num
  end
end
it = Foo.new(40)

puts it #=> #<Foo:0x2b69110>

class Foo
 def to_s
   "Class:Foo Number:#{@num}"
 end
end

puts it #=> Class:Foo Number:40

[SEE_ALSO] Object#to_str,Kernel.#String

to_str -> String

オブジェクトの String への暗黙の変換が必要なときに内部で呼ばれます。 デフォルトでは定義されていません。

説明のためここに記載してありますが、 このメソッドは実際には Object クラスには定義されていません。 必要に応じてサブクラスで定義すべきものです。

このメソッドを定義する条件は、

  • 文字列が使われるすべての場面で代置可能であるような、
  • 文字列そのものとみなせるようなもの

という厳しいものになっています。

class Foo
 def to_str
   'Edition'
 end
end

it = Foo.new
p('Second' + it) #=> "SecondEdition"

[SEE_ALSO] Object#to_s,Kernel.#String

trust -> self

[TODO]

オブジェクトの「untrustマーク」を取り除きます。

[SEE_ALSO] Object#untrusted?,Object#untrust

untaint -> self

オブジェクトの「汚染マーク」を取り除きます。

汚染マークを取り除くことによる危険性はプログラマが責任を負う必要が あります。

オブジェクトの汚染に関してはセキュリティモデルを参照してください。

[EXCEPTION] SecurityError:
セキュリティレベルが3以上の時にこのメソッドを使用すると発生します。

[SEE_ALSO] Object#taint,Object#tainted?

untrust -> self

[TODO]

オブジェクトの「untrustマーク」をセットします。

[SEE_ALSO] Object#trust,Object#untrusted?

untrusted? -> bool

[TODO]

オブジェクトの「untrustマーク」がセットされている時真を返します。

[SEE_ALSO] Object#trust,Object#untrust

values_at(*members) -> [object]

(このメソッドは Struct の下位クラスにのみ定義されています) 引数で指定されたメンバの値の配列を返します。

[PARAM] members:
FixnumRange でメンバのインデックスを指定します。
[EXCEPTION] IndexError:
member が整数で存在しないメンバを指定した場合に発生します。
Foo = Struct.new(:foo, :bar, :baz)
obj = Foo.new('FOO', 'BAR', 'BAZ')
p obj.values_at(0, 1, 2)    # => ["FOO", "BAR", "BAZ"]
zip(*lists) -> [[object]]
zip(*lists) {|v1, v2, ...| ...} -> nil

self と引数に渡した配列の各要素からなる配列の配列を生成して返します。 生成される配列の要素数は self の要素数と同じです。

ブロック付きで呼び出した場合は、 self と引数に渡した配列の各要素を順番にブロックに渡します。

[PARAM] lists:
配列を指定します。配列でない場合は to_ary メソッドにより配列に変換します。 to_ary メソッドが無い場合は each を試します。

例:

p (1..3).zip([4,5,6], [7,8,9])
    # => [[1, 4, 7], [2, 5, 8], [3, 6, 9]]

p (1..2).zip([:a,:b,:c], [:A,:B,:C,:D])
    # => [[1, :a, :A], [2, :b, :B]]

p (1..5).zip([:a,:b,:c], [:A,:B,:C,:D])
    # => [[1, :a, :A], [2, :b, :B],
    #     [3, :c, :C], [4, nil, :D], [5, nil, nil]]

例:

p [1,2,3].zip([4,5,6], [7,8,9]) {|ary|
  p ary
}
    # => [1, 4, 7]
    #    [2, 5, 8]
    #    [3, 6, 9]
    #    nil

privateメソッド

initialize(*args, &block) -> object

ユーザ定義クラスのオブジェクト初期化メソッド。

このメソッドは Class#new から新しく生成されたオブ ジェクトの初期化のために呼び出されます。他の言語のコンストラクタに相当します。 デフォルトの動作ではなにもしません。

initialize には Class#new に与えられた引数がそのまま渡されます。

サブクラスではこのメソッドを必要に応じて再定義されること が期待されています。

initialize という名前のメソッドは自動的に private に設定され ます。

[PARAM] args:
初期化時の引数です。
[PARAM] block:
初期化時のブロック引数です。必須ではありません。
class Foo
  def initialize name
    puts "initialize Foo"
    @name = name
  end
end

class Bar < Foo
  def initialize name, pass
    puts "initialize Bar"
    super name
    @pass = pass
  end
end

it = Bar.new('myname','0500')
p it
#=> initialize Bar
#   initialize Foo
#   #<Bar:0x2b68f08 @name="myname", @pass="0500">

[SEE_ALSO] Class#new

initialize_copy(obj) -> object

(拡張ライブラリによる) ユーザ定義クラスのオブジェクトコピーの初期化メソッド。

このメソッドは self を obj の内容で置き換えます。ただ し、self のインスタンス変数や特異メソッドは変化しません。 Object#clone, Object#dupの内部で使われています。

initialize_copy は、Ruby インタプリタが知り得ない情報をコピーするた めに使用(定義)されます。例えば C 言語でクラスを実装する場合、情報 をインスタンス変数に保持させない場合がありますが、そういった内部情 報を initialize_copy でコピーするよう定義しておくことで、dup や clone を再定義する必要がなくなります。

デフォルトの Object#initialize_copy は、 freeze チェックおよび型のチェックを行い self を返すだけのメソッドです。

initialize_copy という名前のメソッドは 自動的に private に設定されます。

[EXCEPTION] TypeError:
レシーバが freeze されているか、obj のクラスがレシーバ のクラスと異なる場合に発生します。

[SEE_ALSO] Object#clone,Object#dup

以下に例として、dup や clone がこのメソッドをどのように利用しているかを示します。

obj.dup は、新たに生成したオブジェクトに対して initialize_copy を呼び

obj2 = obj.class.allocate
obj2.initialize_copy(obj)

obj2 に対してさらに obj の汚染状態、インスタンス変数、ファイナライ ザをコピーすることで複製を作ります。 obj.clone は、さらに 特異メソッドのコピーも行います。

obj = Object.new
class <<obj
  attr_accessor :foo
  def bar
    :bar
  end
end

def check(obj)
  puts "instance variables: #{obj.inspect}"
  puts "tainted?: #{obj.tainted?}"
  print "singleton methods: "
  begin
    p obj.bar
  rescue NameError
    p $!
  end
end

obj.foo = 1
obj.taint

check Object.new.send(:initialize_copy, obj)
        #=> instance variables: #<Object:0x4019c9d4>
        #   tainted?: false
        #   singleton methods: #<NoMethodError: ...>
check obj.dup
        #=> instance variables: #<Object:0x4019c9c0 @foo=1>
        #   tainted?: true
        #   singleton methods: #<NoMethodError: ...>
check obj.clone
        #=> instance variables: #<Object:0x4019c880 @foo=1>
        #   tainted?: true
        #   singleton methods: :bar
remove_instance_variable(name) -> object

オブジェクトからインスタンス変数 name を取り除き、そのインス タンス変数に設定されていた値を返します。

[PARAM] name:
削除するインスタンス変数の名前をシンボルか文字列で指定します。
[EXCEPTION] NameError:
オブジェクトがインスタンス変数 name を持たない場合に発生します。
class Foo
  def foo
    @foo = 1
    p remove_instance_variable(:@foo) #=> 1
    p remove_instance_variable(:@foo) # instance variable @foo not defined (NameError)
  end
end
Foo.new.foo

[SEE_ALSO] Module#remove_class_variable,Module#remove_const

class Struct